ファットキャットとの出会い【ミニオン物語】

【FF14】ミニオンストーリー

 

― 小さな魚泥棒 ―

ここはリムサ・ロミンサ

潮風の吹く漁師ギルド前で、冒険者は一匹の猫を目撃する

「待ちなさいっ!」

シシプの声が響く

猫は、丸々とした身体からは想像もつかない速さで、魚をくわえたまま木箱の隙間をすり抜けていく

「……あれが噂のファットキャットですか?」

「ええ。ここ数日、魚を盗んでいくの。困ったものよ」

そう言いながらも、シシプの表情には、単なる怒りとは違うものが浮かんでいた

「でも、不思議なのよね。盗む魚は決まって傷があったり、売り物にならないものばかりなの」

疑問を抱えながら、2人は猫の後を追った

たどり着いたのは、港から少し離れた岩陰

そこには、小さな猫たちが身を寄せ合っていた

ファットキャットは、くわえてきた魚を自分では食べず、子猫たちの前へ置いた

子猫たちは夢中で魚にかじりつき、その様子を見届けると、ファットキャットはようやく息をついた

追いついたシシプが、静かに息を吐く

「……そういうこと」

やがて、シシプは小さく息を吐く

「この子は、自分が食べるためじゃなくて……この子たちのために魚を盗んでいたのね」

冒険者は頷いた

「でも、盗みを続けさせるわけにもいかない」

「ええ、そうね。どうしたものかしら」

シシプは漁師ギルドの方へ視線を向け、少し考えるように顎へ手を添えた

「ひとつ方法があるわ」

「方法?」

「漁に出れば、どうしても傷がついたり、売り物にはできない魚が出てくるの。捨ててしまうこともあるけれど……」

シシプは、岩陰で寄り添う子猫たちを見つめる

「それを、この子たちに回せないかギルドに掛け合ってみましょう」

冒険者が目を見開く

「そんなことができるの?」

「正式な売り物にはできなくても、食べる分には問題ないものもあるからね。少し手間はかかるけれど……この子が盗みを働かなくても済むなら、そのくらいの手間は惜しくないわ」

シシプはそう言って、ファットキャットへ微笑みかけた

「あなたも、もう魚を盗まなくていいのよ」

ファットキャットは返事をするように、短く鳴いた

 

 

それから数日、漁師ギルドから子猫たちへ魚が届けられた

子猫たちは少しずつ元気を取り戻し、やがて自分たちで餌を探せるほどにまで成長していった

最後の魚を置き終えた冒険者が振り返ると、ファットキャットが後ろからついてきていた

「君はもうここに残らなくていいの?」

ファットキャットは答えず、冒険者の足元で立ち止まった

冒険者が手を差し出すと、ファットキャットはその指先へ額をそっと押しつける

「……そっか」

冒険者は丸い頭を撫でた

「今度は、君が守られる番だね」

ファットキャットは目を細め、喉を鳴らした

シシプがふっと笑う

「どうやら、あなたを頼ることに決めたみたいね」

「頼られているのか、魚を期待されているのか……」

冒険者が苦笑すると、ファットキャットは足元へ身体をこすりつけた

 

 

その日から、ファットキャットは冒険者の旅に加わった

かつて誰かを守るため、魚を盗むしかなかった小さな猫

今度は、自分を守ってくれる者のそばで、与えられるだけではない温もりを知りながら、ともに歩む道を選んだのだった

 

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